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【Copilot Studio入門】エージェントで「生成型の回答」が作成されない場合の対処方法

Copilot Studioの「生成型の回答」とは?

「生成型の回答」とは、Copilot Studioのエージェントの「トピック」で使う「ノード」の1つで、ナレッジソース(WebサイトやSharePoint)を参考に、生成AIが質問に対して回答してくれます。

トピック、ノードとは

「トピック」はエージェントの主要な構成要素で、「会話のフロー」です。
トピックは「トリガー」と「ノード」で構成されます。

「ノード」はトピック内の「1ステップ」を定義するパーツで、ユーザー入力・条件分岐・AI生成・API呼び出しなどができます。

例えば、「生成型の回答」ノードを使うと、以下のように、Power Platformに関する質問に対して、ブログのページや、Microsoft Learn等を参考に、生成AIが自動で回答してくれます。

「生成型の回答」ノードの使い方は、以下の記事(04、ステップ3:エージェントとフローの作成「生成AIによる回答を追加」の箇所)をご参考ください。

【Copilot Studio入門】AIエージェントとは?基本的な使い方を5ステップで解説!  ミムチ 最近、Copilot Studioや、AIエージェント等の話をよく聞きますが、そもそもAIエージェントで何ができるのですかな…...

この「生成型の回答」はとても便利ですが、悲しいことに、時々回答が作成されずにスキップされることがあります…

パワ実

詳細は分かりませんが、説明不足の文章や、参考URL(https://)をプロンプトで入力すると、回答が作成されない場合がありました…

「生成型の回答」が返ってこない原因

生成型の回答が返ってこない原因としては、主に以下の5つがあります。

生成型の回答がない原因
  1. ナレッジの検索結果がない
    ➡Web検索を有効にする
  2. SharePoint等のナレッジへのアクセス権がない
    ➡アクセス権を付与する
  3. アプリ登録や、エージェントの設定が適切でない
    ➡必要な設定を見直す
  4. ファイルのサポートのサイズ制限を超えている
    ➡代替手段も検討する
  5. コンテンツモデレーションによりブロックされてしまった

これらの原因にたいして、それぞれ上記に示したような対策がとれます。

具体的な原因・対処方法については、Microsoft Learn(公式ページ)も参考にしてください。

今回は、主に①や⑤のナレッジの検索結果がない場合や、コンテンツモデレーションによりブロックされた場合等を対象に、対処方法を解説していきます。

「生成型の回答」が作成されない場合の対処方法

「生成型の回答」ノードでインプットされたプロンプト(質問)に対して、適切な回答がされない場合、出力として「空白」が返り、次のノードが実行されます。

そのため、絶対に回答がある前提で、トピック(会話フロー)を組み立てると、回答がされないまま、次のフローに進んでしまう問題がおきます。

この問題に対応するため、以下の2つの対応が必要そうです。

「生成型の回答」が作成されない場合の対応
  1. 「空白」が返ってきた場合の分岐を作る
  2. コンテンツの「モデレーション」の設定を見直す
  3. ユーザーにより適切なプロンプトを入力してもらう

「空白」が返ってきた場合の分岐を作る

「生成型の回答」ノードを使う場合、「空白」が返ってきた場合の分岐の作成は必須と考えてよいと思います。

以下の手順で、分岐を作成していきます。

1.「生成型の回答」のプロパティで、生成AIの回答を格納する変数を作成しておきます。

生成AIの回答を格納する変数は、「三点リーダー」>「プロパティ」を選択します。

「ボットの応答を名前を付けて保存」を選択し、「新しい変数を作成する」で変数を設定します。

ミムチ

変数名は自由に変更できますぞ!

2.「生成型の回答」の下に、新しく「ノードの追加」で、「条件」を追加します。

3.条件の設定で、「生成型の回答」の生成AIの回答の変数が、空白の場合とします。

4.空白の場合に実行するノードを追加します。(回答できなかった旨を伝えるメッセージの送信等)

5.このとき、他のトピックや、このトピックをはじめから実行することもできます。

同じトピックの指定したノードに遷移することもできますが、これを使うとフローが煩雑になってしまうため、あまり多様しない方がよさそうです。

コンテンツの「モデレーション」の設定を見直す

コンテンツのモデレーション設定を見直すことで、回答率がアップする可能性があります。

「モデレーション」は「高」「中」「低」から選択することができ、「高」であるほど、より関連性が高く正確な回答が得られます(既定の設定)。

一方で、「中」や「低」にすると、より多くの回答が得られますが、関連性が低かったり、有害なコンテンツが含まれる可能性があります。

コンテンツのモデレーションは、以下の手順で設定変更できます。

1.対象の「生成型の回答」の「三点リーダー」>「プロパティ」を開きます。

2.「モデレーション」の設定を変更し、エージェントを「保存」して「公開」します。

エージェントの「設定」>「生成AIの設定」にも「モデレーション」の項目がありますが、ここで変更しても、反映されない(保存できない)場合があります。

ユーザーにより適切なプロンプトを入力してもらう

生成AIによる回答が適切にされない大きな原因の一つとして、ユーザーが適切なプロンプト(質問)を入力していない場合も多いです。

そのため、以下のような対応で、ユーザーに適切なプロンプトを入力してもらうようにすると有効かもしれません。

  1. フォーマットを使って入力してもらった内容から、プロンプトを作成し、生成AIに渡す
  2. 社内教育や社内ナレッジサイト等で、生成AIを使う際のプロンプトのコツ等を共有する

例えば、ユーザーに以下のようなアダプティブカードへ入力してもらい、生成AIに「サービス、カテゴリ、内容」をプロンプトで渡すと、生成AIによる回答率が向上する可能性があります。

さいごに

この記事では、Copilot Studioの「生成型の回答」が作成されなかった場合の対処方法を解説しました。

基本的には、以下の3つの対処方法が考えられます。

「生成型の回答」が作成されない場合の対応
  1. 「空白」が返ってきた場合の分岐を作る
  2. コンテンツの「モデレーション」の設定を見直す
  3. ユーザーにより適切なプロンプトを入力してもらう

なお、Copilot Studio は今後も色々と仕様変更が予想されるため、今後上記のような事象が改善される可能性もあるかと思います。

パワ実

またCopilot Studioを使っていく中で、新しい情報が得られたら、記事に投稿してきます!

ABOUT ME
パワ実(Microsoft MVP)
2021年からPower Platform(Power BI、Power Apps、Power Automate)を勉強中。 2023年にIT系・コンサルタントに転職し、仕事でPower Platformを活用したコンサルを行っています。 2025年~Microsoft MVP for Business Applications 受賞 Power Platformを使っていく中で、知りえた情報をブログ、Youtube、Xで発信しています。 Power Platformに関するご相談は以下のページからお願いします! https://www.powerplatformknowledge.com/contact/

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