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キャンバスアプリの作成方法#7 ~アプリ開発④~変数、コレクションとは?データベースの更新

ミムチ
ミムチ
ギャラリーで表示しているデータの一覧を編集したいのですが、どのように実装したらよいのか分かりませんぞ…

パワ実
パワ実
それにはまず、変数とコレクションの知識が必要だよ!

この記事では、変数とコレクションを使ってギャラリーのデータを更新する方法を解説します。

この記事でわかること

  1. 変数、コレクションとは何か?
  2. 変数、コレクションの使いどころ
  3. ギャラリーのデータ更新の実装方法

Youtube動画で見たい方は、こちらからどうぞ!

変数とは何か?

ミムチ
ミムチ
そもそも変数とは何ですかな?

パワ実
パワ実
アプリの実行中に、アプリ側で一時的に値を保持したいときに「変数」や「コレクション」に値を入れられるんだよ。

以前解説した「SubmitForm」関数は、フォームコントロールに入力した値を、データベースに登録する関数です。

この時アプリは、SharePointリスト等のデータベースと通信をしてデータを登録します。

一方変数とは、データベースとは通信をせず、アプリ内だけで一時的に保持できる値です。

例えばUpdateContext関数を使えば、図のように変数名「Var」に{abc}という値を格納し、アプリの開いている画面で保持することができます。

  • 変数やコレクションはデータベースとは通信をしないため、動作が速くなります。
  • データベース操作が必要のない値を保持したい場合、変数は便利です

コレクションとは何か?

次にコレクションは変数と同様、アプリ側で一時的にデータを保持できますが、変数が値で保持するのに対、コレクションはテーブルでデータを保持できます。

例えば図のように、Collect関数式を書くと、コレクション名「Col1」というテーブルの「Var1列に1、Var2列に2」という値を入れたレコードを追加できます。

ミムチ
ミムチ
なるほどですぞ。

変数、コレクションについては何となく分かりましたが、実際のアプリ実装にどう使うのですかな?

パワ実
パワ実
次の章で、実際に変数とコレクションを使ったギャラリーデータの更新を実装してみるよ!

ギャラリーのデータ更新方法

今回は変数とコレクションを使って、ギャラリー内のデータの更新を実装します。

1.まず挿入タブのアイコンから「ペンアイコン」と「チェックアイコン」を挿入します。

以下のような動作を実装したいと思います。

実装したい動作

  • ペンアイコンをクリックしたら、ギャラリーを「編集モード」にする
  • チェックアイコンをクリックしたら、ギャラリーの「編集モードを解除」し、変更内容をSharePointリストに登録する

これにはまず、変数を使います。

2.ペンアイコンをクリックしたとき、以下の関数式で、変数「GalEdit」に「true」の値を入れます。

UpdateContext( {GalEdit: true} )

3.ペンアイコンをクリックし、変数が設定されたか確認します。

実際に変数やコレクションに何の値が入っているかは、三点リーダー(…)の変数や、コレクションから確認できます。

現在変数「GalEdit」には「True」の値が適切に設定されていることが分かりました。

4.次に変数「GalEdit」がTrueに なったとき、ギャラリーの「DisplayMode」を「Edit」にします。

変更する値となる「日付」「アイテム」「ショップ」を選択し、以下の関数式でDisplayModeを設定します。

If(GalEdit = true, DisplayMode.Edit, DisplayMode.View)

  • Editにしたい列は入力のコントロールにする必要があります
  • テキストラベルではModeをEditにできないため、テキスト入力コントロールを使います。

今回、日付はDatePicker、アイテムはテキスト入力、ショップはドロップダウンのコントロールを使っています。

これで、ペンアイコンをクリックしてギャラリーを編集モードにするところまでできました。

この後は、編集したギャラリーの内容を、チェックアイコンをクリックしたときに、SharePointリストに反映させるデータベース登録の実装が必要です。

ギャラリーで編集するレコードが、複数ある可能性がある場合、一旦コレクションで更新内容のテーブルを作成し、SharePointリストに反映する方法が便利です。

今回の場合、最初にShopping画面を起動したとき、SharePointリストからShoppingリストのコレクションを作成します。

5.起動時の処理はアプリ画面の外をクリックし、「Onvisible」プロパティで設定できます。

ClearCollect(ShoppingItemCol, Filter(ShoppingList, DeleteFlag = false))

ClearCollect関数は、コレクションをクリアした後に、新しくコレクションを作成する関数です。

6.動作確認で一旦別の画面に移り、再度Shopping画面を起動すると、コレクションが作成されるので、実際のコレクションの中身も正しく入っているか確認しましょう。

コレクションはアプリ内だけで持つテーブルで、データベースに登録しない限り、データベースには反映されません。

編集内容をコレクションに反映するため、ギャラリーに表示するアイテムもSharePointリストではなく、コレクションにします。

7.ギャラリーの「Itemsプロパティで、コレクション名「ShoppingItemColを指定しましょう。

起動時にSharePointリストからコレクションを作成した後、コレクションを更新するタイミングは以下の3つあります。

コレクションが更新されるタイミング

  1. データの登録:Submitボタンクリック時
  2. データの削除:ゴミ箱アイコンクリック時
  3. データ更新:チェックアイコンクリック時

この時コレクションにも反映させたいため、上記コントロールのOnSelectプロパティの最後に、ClearCollect関数でコレクションの作成をし直します。

ClearCollect(ShoppingItemCol, Filter(ShoppingList, DeleteFlag = false))

次にいよいよ、ギャラリー編集時のコレクションの更新を実装します。

8.まずDate列を更新したときの処理を実装するため、DatePickerの「OnChange」プロパティーを選択し、以下の関数式を書きます。

UpdateIf(ShoppingItemCol,  ID = ThisItem.ID,  {Date: DatePicerコントロール名.SletctedDate})

UpdateIf関数で、コレクション「ShoppingItemCol」のID列が選択しているレコードのIDのものを対象に、Date列の値を選択された値に変更します。

  • OnChangeプロパティは、コントロールの値が変更されたときに実行されるプロパティです。
  • テキスト入力コントロールでは、テキストを入力してEnterキーを押したタイミングでも実行されるため、Enterキーで登録したい場合は、OnChangeプロパティを使ったりもします。

同様にアイテム列、ショップ列のOnChangeプロパティも設定していきます。

9.Item列は以下のような関数式を書きます。

UpdateIf(ShoppingItemCol, ID = ThisItem.ID, {ShippingItem: TextInput_Item.Text})

10.ショップ列も同様にこのような関数式を設定しています。

UpdateIf(ShippingItemCol, ID = ThisItem.ID,

 {ShopID: LookUp(ShopList, ShopName = Dropdownコントロル名.Selected.ShopName, ID)}

)

ショップ列は、ドロップダウンで選択するのはショップ名、登録するのはショップIDなので、LookUp関数を使って、上記のようにショップIDを登録します。

11.動作確認で、実際にコレクションの内容が更新されるか確認してみます。

以下のように、コレクションの中身を確認し、適切に更新が反映されていればOKです。

最後にチェックアイコンをクリックしたとき、コレクションのテーブルをSharePointリストに反映させる実装をします。

12.チェックアイコンの「OnSelect」プロパティを開き、以下の関数式を入力します。

RemoveIf(ShoppingList, DeleteFlag = false);

ForAll(ShoppingItemCol,

 Patch(ShippingList, Defaults(ShoppingList),

  {Date: Date,

   ShoppingItem: ShoppingItem,

   ShopID : ShopID

 }

);

UpdateContext({GalEdig: false})

  • コレクションの内容をそのまま登録すると、コレクションに登録されているデータが重複して登録されてしまいます。
  • そのため、今ギャラリーに表示されているコレクションのデータを、一旦SharePointから削除した後に、正しくコレクションのデータを登録し直す実装にします。

コレクションのデータをSharePointリストに登録するには、ForAll、Patch関数を使います。

ForAll、Patch関数を使うと、テーブルで持つコレクションのデータを、1レコードずつデータベースに登録することができます。

ForAll、Patch関数の使い方

  • ForAll、Patch関数は、複数のレコードを1レコードずつデータソースに登録します。
  • 構文:ForAll(コレクション名,
  •  Patch(登録するリスト名), Defaults(登録するリスト名),
  •   {リストの列1: コレクションの列1, リストの列2: コレクションの列2…}

このような感じで、コレクションからSharePointリストへのデータ登録ができます。

そして最後に、変数GalEditをTrueからFalseに更新しています。

13.あとは以下のように、チェックアイコン、ペンアイコンの「Visible」プロパティを変数「GalEdit」で制御すれば完成です!

14.動作確認をして、問題なくデータ更新がされるか確認してみます。

以上で、変数とコレクションを使ったギャラリーの編集が実装できました!

最後に

本日は変数、コレクションを使ってギャラリーのデータ更新をする方法を解説しました。

ミムチ
ミムチ
今回使った変数や、コレクションはとても重要そうですな。

他にも色々な場面で使えそうですぞ!

パワ実
パワ実
変数を使えば、例えばVisibleプロパティを切り替えることで、ポップアップ風の実装もできるよ。

その他にも変数やコレクションは、様々な場面で便利に使えるので、是非使い方を覚えておきましょう!

次回は「レシピリスト」に「材料リスト」から選択した複数の「材料名」を登録する実装をします!

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パワ実
DX推進担当(IT部門) 2021年からPower Platform(Power BI、Power Apps、Power Automate)を勉強中。 Power Platformを使っていく中で、知りえた情報を発信している。 Youtube、Twitterでの情報発信もしています!

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